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足・脚の痛み

足・脚の痛み

次のような症状がある場合は、早めの受診をおすすめします。

  • 歩き始めや立ち上がりのときに足首・かかとが痛む
  • 朝、床に足をついた最初の一歩が痛い
  • 足首を挫いた後、なかなか痛みが取れない
  • 捻挫が癖になっていて、くりかえし足首をくじく
  • 足の親指の付け根が外側に出っ張って靴に当たる
  • 足の裏やタコ(胼胝)の部分に強い圧がかかって痛む
  • アキレス腱の周囲が腫れて痛い
  • ふくらはぎや太ももが急に強く痛んだ
  • 足の指にしびれやピリッとした痛みがある
  • 最近、扁平足になってきた気がする・足首が痛くて腫れが引かない
  • 脚がだるい・むくむ・冷感がある
  • 他院で「湿布で様子を」と言われたが改善しない

これらの症状が長引く場合、足底腱膜炎・外反母趾・変形性足関節症・距骨骨軟骨障害・アキレス腱障害など、適切な診断と治療が必要な疾患が潜んでいる可能性があります。

受診の目安

受診の目安は以下の通りとなり、早めの診断と治療が足・脚を長く健康に保つための第一歩です。

  • 痛みが2週間以上続く
  • 歩行や階段の昇降に不自由を感じる
  • 足首の腫れや熱感が繰り返し起こる
  • 捻挫後に足首の不安定感・痛みが残っている

当院で主に診療する足・脚の疾患

代表的な疾患と治療方針

足底腱膜炎(そくていけんまくえん)

足の裏には「足底腱膜」と呼ばれる線維組織が踵(かかと)の骨から足の指の付け根にかけて広がり、土踏まずのアーチを支えながら歩行時の衝撃を吸収しています。
長時間の立ち仕事・ランニング・体重増加・合わない靴・扁平足などにより、この腱膜の踵骨付着部に繰り返し過大な負荷がかかると炎症が生じます。朝の起床直後や長時間の休息後に最初の一歩でかかとに鋭い痛みが走るのが特徴で、歩き続けると徐々に和らぐことが多いです。

診断

問診・触診でかかと内側前方の圧痛を確認します。X線検査で踵骨の変化(骨棘など)を確認し、超音波(エコー)検査で腱膜の肥厚や変性の程度をリアルタイムに評価します。

治療

当院では保存療法を第一選択とし、症状・病期に合わせて以下を組み合わせます。

保存療法
1.生活指導・セルフケア
  • 足底・ふくらはぎのストレッチ(起床前・入浴後に実施)
  • クッション性の高い靴・かかとの厚い靴への変更
  • 長時間の立位・歩行を一時的に制限
  • 体重管理で足底への荷重を軽減
2.運動器リハビリテーション
  • 足底筋・下腿三頭筋のストレッチ・筋力強化
  • 足アーチを支える内在筋のトレーニング
  • 歩行フォームの評価と改善指導
  • 足底への負担を根本から減らし、再発を予防します。
3.薬物・注射療法
  • 消炎鎮痛剤(内服・外用)で炎症と痛みを緩和
  • 局所ステロイド注射:強い炎症・疼痛が続く場合に実施。効果は高いですが、腱の変性を防ぐため頻回投与は避けます
4.物理療法・装具療法
  • ホットパック、超音波療法、低周波療法
  • インソール(足底板):アーチを支え、踵への衝撃と腱膜への牽引力を分散
  • テーピングによる一時的なアーチサポート
再生医療(バイオセラピー)

上記の保存療法で効果が乏しい難治例には、自己多血小板血漿(PRP)療法等の次世代再生医療を選択肢に加えて治療を検討します。
PFC-FD療法は、自身の血液に含まれる成長因子を利用し、足底腱膜をはじめとした運動器の再生・修復を促す最先端の再生医療です。
保存療法で十分な効果が得られない場合の有力な選択肢となります。詳しくはお気軽にご相談ください。

手術療法

保存療法を6か月以上継続しても改善しない難治性の場合に検討されます。当院は以下の連携医療機関と密接に連携し、適切なタイミングで紹介します。

連携病院について

など

外反母趾(がいはんぼし)

足の親指(母趾)が外側(小指方向)に曲がり、付け根の関節が内側へ突き出す変形です。突出した部分が靴に当たって赤く腫れ、歩行時の痛みや靴選びの困難につながります。症状は様々で、親指以外の趾にも変形があると、それらの趾が靴に当たる部分や、足裏にできたタコ(胼胝)の部分にも強い圧がかかって痛みが出ることがあります。
先の細い靴・ハイヒールの長期着用が主な原因ですが、足の形(幅広・扁平足)や遺伝的素因も関与します。

診断

立位でのX線検査で母趾外反角(HV角)・第1・2中足骨間角(M1M2角)を計測し、変形の程度を評価します。
足趾・足底の状態、歩行パターン、使用している靴も合わせて確認します。

治療

治療としてはまず運動療法や装具(中敷き・靴型装具)により、集中した圧を分散させ痛みの緩和を試みます。当院では変形の程度と症状に応じて段階的に治療を進めます。

保存療法
1.生活指導・靴の見直し
  • 幅広で先が広く、かかとが安定した靴への変更
  • ハイヒール・先細りの靴を避ける
  • 足趾スペーサー・バニオンパッドの使用
2.運動療法・装具
  • 足の指のグー・パー運動、タオルギャザー
  • 母趾外転筋・足内在筋の強化
  • 夜間装具(スプリント)による矯正
  • インソール(中敷き)・靴型装具によるアーチサポートと荷重分散
3.薬物療法
  • 消炎鎮痛剤(内服・外用)で炎症と痛みを緩和
  • 滑液包の炎症が強い場合はステロイド局所注射
4.物理療法
  • 超音波療法、低周波療法で炎症・疼痛を緩和
手術療法

それでも痛みが取れない場合には手術が必要となります。一般的には矯正骨切り術(人工的に骨折を起こして骨の向きを変える手術)が行われています。手術が必要と判断した際は、上記の連携医療機関へ適切なタイミングでご紹介します。
入院期間は親指だけの変形の場合は数日間ですが、変形が他の趾にも及ぶ場合はそれらの治療も必要となるため長くなることがあります。

足関節捻挫・慢性足関節不安定症・距骨骨軟骨障害

足首を内側にひねることで前距腓靱帯などが損傷する足関節捻挫は、日常生活やスポーツで最も多い足のけがです。一口に捻挫といっても、足首を捻ったことによりその周辺に様々な障害が引き起こされます。
靱帯の損傷が軽微な場合は多くが自然治癒に向かいますが、靱帯が完全断裂したまま放置されると、足首が慢性的にグラグラする「慢性足関節不安定症」(いわゆる"捻挫が癖になった"状態)に移行し、将来的な変形性足関節症のリスクを高めます。
骨折(剥離骨折など)を伴う場合もあるため、X線検査による正確な診断が重要です。また、捻挫後に痛みがなかなか取れない別の原因として、距骨骨軟骨障害(離断性骨軟骨炎)があります。捻挫の際に足首の骨同士が衝突し「骨のうちみ」が生じた状態で、通常のレントゲンでは見えにくく、MRIやCTなど特殊な検査で確認する必要があります。

診断

問診・触診で損傷靱帯と重症度を確認します。X線で剥離骨折・骨傷の有無を評価します。靱帯・軟骨・腱の損傷が疑われる場合は超音波(エコー)でリアルタイムに確認し、距骨骨軟骨障害が疑われる場合はMRI・CT検査を追加します。

治療

保存療法
1.急性期の初期処置(RICE療法)
  • Rest(安静):患部への荷重を制限
  • Ice(冷却):腫れと炎症を抑制
  • Compression(圧迫):包帯やテーピングで固定
  • Elevation(挙上):むくみを軽減

→損傷の程度に応じてギプス固定や装具を使用します。

2.運動器リハビリテーション
  • 腫れが引いたら早期から可動域訓練を開始
  • 足関節周囲筋・腓骨筋群の筋力強化
  • バランスボード等を用いた固有感覚(プロプリオセプション)訓練
  • スポーツ復帰に向けた段階的なアスレティックリハビリ
3.薬物療法
  • 消炎鎮痛剤(内服・外用)で急性期の炎症・疼痛を緩和
4.装具療法
  • 足関節サポーター、テーピング、カスタムインソール
  • 慢性不安定症には専用の足関節装具
手術療法

重度の靱帯断裂や保存療法で改善しない慢性足関節不安定症には靱帯修復術・再建術が検討されます。距骨骨軟骨障害に対しては、関節鏡を使用した内視鏡手術でできるだけ低侵襲に対応しますが、病変が大きかったり骨欠損を生じている場合には骨の移植が必要となることもあります。手術が必要な場合は連携医療機関へご紹介します。

変形性足関節症

変形性足関節症は、足首の関節軟骨が損傷・摩耗して炎症と痛みを生じる疾患です。高齢の女性に多く、足首の骨折後の後遺症として生じる場合のほか、脛骨(すねの骨)の関節面が足首の部分で内側に傾いている方では、骨同士の接触に偏りが生じ、長い年月をかけて徐々に軟骨がすり減り、あるとき急に痛みが出てくることもあります。放置すると変形が進み、日常生活に大きな支障をきたします。

診断

立位でのX線検査で関節の隙間の狭小化・骨の変形を確認します。
軟骨・靱帯の状態を詳しく調べる必要があれば、超音波(エコー)やMRIを追加します。

治療

当院では保存療法を第一選択とします。

保存療法
1.生活指導・装具療法
  • 疼痛が強い時期は歩行量を制限し、関節への負担を軽減
  • アーチサポート付きインソール・短下肢装具(AFO)で足首を安定させる
  • 杖や歩行補助具の活用
2.運動器リハビリテーション
  • 足関節周囲筋・下腿筋群のストレッチと筋力強化
  • 可動域訓練・バランス訓練
  • 体重管理で関節への荷重を軽減
3.薬物・注射療法
  • 消炎鎮痛剤(内服・外用)
  • ヒアルロン酸関節内注射・ステロイド注射で炎症と疼痛を緩和
4.物理療法
  • ホットパック、低周波療法、超音波療法で血行改善・疼痛緩和
手術療法

保存療法で改善しない場合は外科的治療が選択肢となります。軟骨損傷が軽度な場合は関節の傾きを調整する骨切り術を、関節の破壊が著しい場合には人工足関節形成術もしくは関節固定術が検討されます。手術が必要な場合は連携医療機関へご紹介します。

アキレス腱炎・アキレス腱断裂

アキレス腱はふくらはぎの腓腹筋・ヒラメ筋と踵骨をつなぐ人体最大の腱で、歩行・ランニング・跳躍のあらゆる動作に関与します。ランニングや急な踏み込み動作の繰り返しで腱に微小な傷が蓄積するとアキレス腱炎・周囲炎が生じます。さらに強い外力がかかると腱が断裂し、「ふくらはぎを蹴られた感じ」「ブチッという音」とともに歩行が困難になります。
30〜50代に多く、普段あまり運動しない方が急に激しい運動をした際にも発生します。

診断

問診・触診でアキレス腱の圧痛・腫脹・連続性を確認します。超音波(エコー)検査で断裂の有無と程度をリアルタイムに評価し、完全断裂か部分断裂かを判断します。必要に応じてMRIを追加します。

治療

保存療法(アキレス腱炎・部分断裂)
1.急性期管理・生活指導
  • 運動の一時休止と患部の安静
  • ヒールリフト(踵の高い靴・インソール)で腱への張力を軽減
  • 完全断裂では装具・ギプスによる足関節固定
2.運動器リハビリテーション
  • 急性期後から段階的に可動域訓練・筋力回復
  • エキセントリック(遠心性)収縮訓練:腱炎の有力なリハビリ法
  • ランニング・ジャンプへの段階的復帰プログラム
3.薬物療法
  • 消炎鎮痛剤(内服・外用)
  • 腱周囲への注射(ステロイドは腱変性のリスクがあるため慎重に判断)
4.物理療法
  • 超音波療法、低周波療法による疼痛緩和と組織修復促進
手術療法

完全断裂で高い活動性への早期復帰を希望する場合や、保存療法で改善しない難治例では手術(アキレス腱縫合術)が選択肢となります。近年は早期リハビリを組み合わせた保存療法でも良好な成績が報告されており、手術の適応は患者さまの活動レベル・年齢・希望を総合的に判断します。手術が必要な場合は連携医療機関へご紹介します。

扁平足・後脛骨筋腱機能不全症(PTTD)

土踏まず(足のアーチ)が低下・消失した状態を扁平足といいます。中年期以降に生じる扁平足のほとんどは、足のアーチを上方に引っ張るように働く後脛骨筋腱が年齢とともに傷んでくることで生じます。内くるぶしの後ろ側に痛みと腫れが出てきて、外観上は足先が外側を向き、後ろから見ると踵が「ハの字」に傾いた扁平足になります。外反母趾のような変形を伴うこともあります。進行するとアーチがさらに崩れ、足首にまで変形が及ぶことがあります。

診断

立位・歩行時の足のアーチ・踵の傾きを観察し、片脚つま先立ちテストで後脛骨筋腱の機能を評価します。X線で変形の程度を確認し、超音波(エコー)・MRIで腱の変性・断裂の状態を詳しく評価します。

治療

治療としてはまず装具(中敷き・靴型装具)でアーチの傾きを矯正することから始めます。

保存療法
1.装具療法
  • アーチサポート付きインソール(中敷き):アーチを支え腱への負担を軽減
  • 短下肢装具(AFO)・靴型装具:変形が進んだ場合に足首の傾きを矯正・安定
  • 足関節サポーター
2.運動器リハビリテーション
  • 後脛骨筋・足底筋・下腿三頭筋のストレッチと筋力強化
  • 足趾・足関節の運動(タオルギャザー、つま先立ちなど)
  • 体重管理で足底への荷重を軽減
3.薬物療法
  • 消炎鎮痛剤(内服・外用)で炎症・疼痛を緩和
手術療法

症状が改善しない場合には手術が必要となります。腱移行術・骨切り術・関節固定術などが変形の程度に応じて検討されます。手術が必要な場合は連携医療機関へご紹介します。